単身世帯が増加し、女性の就労率が上昇した現在、全く料理をしないという人が増えている気がします。

1人で入れる飲食店も増え、コンビニやスーパーの弁当や惣菜は充実し、宅配も種類が多いため、すぐに食べられる物が簡単に手に入る時代です。しかし、食材費や人件費、光熱費の高騰により食事の単価が上がっています。

少しでも単価を下げようとサラダやお浸しなどの副菜を付けるのをやめたり、セットを単品大盛りにしたりして、ボリュームは減らさず炭水化物を増やしておなかを満たす人もいるでしょう。栄養相談をしていても、「サラダは高いからもったいない」「魚料理は選択肢が少なく価格が高い」といった声をよく聞きますが、栄養が偏ることになりますね。

そんな時こそ、食費を上げずに食事バランスを改善する“簡単自炊”を実践しましょう。特に、日本人は食物繊維が足りないと言われています。簡単に野菜がとれるようになる自炊のポイントを3つお伝えします。

電子レンジの利用

冷凍野菜やレトルト、缶詰の食材を使い、電子レンジで加熱して食べましょう。缶詰やレトルトは味がついているものが多く、その味付けが少し濃いため、味のついていない冷凍野菜を混ぜて一緒に加熱すると調味料が不要です。

例えば、「レトルトカレー+冷凍ホウレン草」「カット野菜+サバ缶・ツナ缶」など。混ぜて加熱するだけで、野菜を増やすことができます。

炊飯器の利用

一品でもバランスの良い炊き込みご飯を利用しましょう。炊飯器に米と一緒に具材を入れるだけです。

例えば、米、鶏肉(こま切れ)、冷凍ゴボウ、キノコ(生を手で割く、冷凍もあり)、冷凍グリーンピースや冷凍むき枝豆を入れ、麺つゆで味付けして炊飯すると和風の炊き込みご飯ができます。米にトマト缶やトマトジュース、シーフードミックス、ミックスベジタブルや冷凍コーンを入れ、コンソメで味付けして炊飯すると洋風になります。

一度に食べ切れなければ、小分けして朝ご飯や弁当にもできます。無洗米を使うと、より簡単です。組み合わせを変えてアレンジもできますね。

乾物の利用

乾物は日持ちがします。乾燥ワカメ、海苔、塩昆布、かつお節、ゴマ、干しエビ、高野豆腐など、小さくカットされているものは水で戻さず、そのまま入れるだけで具を増やすことができます。

インスタントのスープに、ワカメ、海苔、高野豆腐(汁物用も市販されている)などの中から1品加えると、食物繊維やタンパク質を増やすことができます。冷凍小松菜やホウレン草、カット野菜に塩昆布やすりゴマ、干しエビ、かつお節などから1品加えると、食物繊維やミネラルだけでなく味やうま味も足すことができます。

食物繊維の摂取量が少ないことが栄養調査で分かっており、食事摂取基準2025年度版でも食物繊維の目標量がさらに上げられる予定です。乾物には、食物繊維やミネラル(カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウムなど)が豊富なものが多く、不足しがちな栄養を補ってくれます。

缶詰やレトルト、乾物は災害時用のストックにもなります。これらは安価ではありませんが、日持ちがするため休日やセール時に買い置きしておくのも良いでしょう。自炊しない人もする人も、これらをぜひ活用してください。

管理栄養士・今井久美